私が毎年楽しみにしているお正月の風物詩・箱根駅伝には、予選会で本戦に出られなかった大学の選手たちが走れる「関東学生連合チーム」という特別な仕組みがあります。
今年は東大の秋吉選手、東大大学院の古川選手という、東大コンビが話題になりましたが、実はこの関東学生連合、2026年から新ルールに大きく変わるのをご存じですか?
ポイントは、「チーム枠」と「個人枠」という2つの選出方法ができたこと。
これまでのように“個人タイム上位の選手だけ”ではなく、チーム単位でも出場できるチャンスが広がるようになったんです。

チーム枠と個人枠って今までのルールとどう違うの?



今まで箱根駅伝本選を走ったことがある人も出れるってこと?
いきなりチーム枠だとか個人枠だとか言われても、わかりづらいですよね。
大幅にルール改正したということで、今まで走ったことがある選手も、選出の対象になるのかどうかも気になる人も多いと思います。
そこで今回は、箱根駅伝の関東学生連合に新しく導入されたチーム枠と個人枠の違いについて、初めての方にもわかりやすくまとめてみました。
- 箱根駅伝の関東学生連合チームとは
- 関東学生連合の新ルールはどんな内容?過去に出走した人も出れる?
- 関東学生連合のルール改正の背景
新制度の背景やメリット、変更点もあわせて紹介していくので、今回のルール改正について詳しく知りたい人はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
関東学生連合チームってなに?そもそもの仕組みをかんたんに解説
箱根駅伝に登場する「関東学生連合チーム」は、ふつうの出場チームとは少し違った特別な存在です。
まずはその基本的な仕組みや、どうして生まれたのか、どんな大学の選手が選ばれるのかを見ていきましょう。
▶ 関東学生連合の歴史やこれまでの注目選手については、こちらの記事でも詳しく解説しています
→ 箱根駅伝・関東学生連合とは?なぜあるのか、歴代メンバーや注目選手も紹介
そもそも「関東学生連合」ってどんなチーム?
箱根駅伝のテレビ中継などで、「関東学生連合」というチーム名を目にしたことがある方もいるかもしれません。
この関東学生連合は、簡単に言うと「予選会では惜しくも本戦出場を逃した大学の選手たちによって編成される特別チーム」です。
実際には、複数の大学から選ばれた選手たちがチームを組み、箱根駅伝と同じコースを走ります。
2026年からは「チーム枠」と「個人枠」の新ルールが導入され、編成方法は大きく変わることになりました。
ただし、出場の形式自体はこれまでと同様に“オープン参加”扱いで、正式な順位や記録はつかないことに変わりはありません。
他大学の選手と同じコースを本気で走りますが、あくまで特別枠での出場となるため、総合順位には含まれず、表彰対象にもなりません。
とはいえ、その中で区間上位に食い込む選手も多く、個々の走りには大きな注目が集まっています。
どうしてこの仕組みができたの?
関東学生連合が生まれたのは2004年。
きっかけは、関東地区の箱根駅伝参加校以外にも、強い選手が増えてきたことでした。
当時の予選会では、全体の成績が良くてもチームが本戦に出られなければ、その年の箱根駅伝には出場できないという厳しいルールがありました。
「チームとしては敗退しても、個人の走りをもっと評価してあげたい」という声が高まり、
2004年から“学連選抜”という名称でスタートしたのが、この制度のはじまりです。
途中で制度が一時廃止されたこともありますが、2016年から「関東学生連合」という現在の名称で復活。
今では、個人の実力を評価し、再チャレンジの場を与える制度として定着しています。
どんな大学の選手が選ばれているの?
関東学生連合に選ばれる選手は、予選会で本戦出場を逃した大学の中から、個人記録が優れている選手たちです。
これまでは、原則として1校から1名までが選ばれ、全体で10人前後のチームが編成されてきました。
たとえば、東京大学の秋吉拓真選手のように、記録を伸ばして連続出場を果たした選手もいます。
つまり、強豪校でなくても、本戦で走れるチャンスがあるのが関東学生連合の魅力なんですね。
ただし、2026年大会からは選考ルールが大きく変わり、「チーム枠」と「個人枠」の2つの方式に分かれることが発表されました(このあと詳しく解説します)。
【箱根駅伝2026から変更】関東学生連合のチーム枠と個人枠とは?
先日なんと東京大学3年の秋吉選手と撮影してきました🤩
— たむじょー🏃♂️Tamujo🏃♂️ (@tamujo0402) January 25, 2025
秋吉選手は今年の箱根駅伝で関東学生連合として8区を走り、東京大学で箱根駅伝を走るという夢を叶えました😊
それを達成できた理由などたくさんお聞きしました!今回もとても深い内容です!
明日動画投稿するのでお楽しみに😆@akiyoshitakuma pic.twitter.com/uVdGPQnqf9
これまではタイム上位の選手を個人単位で選ぶ形だった箱根駅伝の関東学生連合チームですが、2026年大会からはチーム枠と個人枠に分かれる新ルールがスタートします。
ここでは、それぞれの枠の特徴や違いについてわかりやすく紹介していきます。
チーム枠とは?予選落ちでも各大学から1人ずつ出場できる制度
2026年の箱根駅伝から新しく導入されるチーム枠は、予選会で惜しくも敗退した大学の中から、上位10校に1人ずつ選手が選ばれるという新しい仕組みです。
つまり、予選会で本戦出場は逃したものの、総合成績が11位~20位だった大学には、それぞれ1名ずつの出場枠が与えられるというわけです。
各大学はこの枠を活用して、主力選手の中から1人を連合チームに推薦・選出します。
これまでは、たとえば「予選会で善戦した大学に実力者が何人もいても、全員出られない」というケースが多く見られました。
しかしこの新ルールによって、落選した大学の実力ある選手が、チームとして箱根に挑むチャンスが広がることになります。



総合成績が11位~20位までに入っていれば、確実に1人は箱根駅伝を経験できるってことだよね!今まで箱根駅伝に出たことのない大学の選手にとっては大舞台を経験できるチャンスだ♪
個人枠とは?予選会21位以下から選ばれる“個の力”ルート
一方、個人枠は、これまでの関東学生連合に近い選考方法で、予選会での個人成績(タイム)を重視して選出される枠です。
ただし、2026年からの新ルールでは、個人枠の対象は予選会で総合21位以下となった大学に限られます。
そのうえで、各大学から1名までの候補者が出され、個人タイムの上位6名が関東学生連合に加わる仕組みになっています。
つまり、たとえばある大学が予選会で下位に沈んでしまっても、その中に際立って速い選手がいれば、“個の力”だけで箱根の舞台に立つチャンスがあるというわけです。
チーム枠が“団体の頑張り”を評価する制度なのに対し、個人枠はあくまで“ひとりの実力”がものを言うルート。
この2つの枠が組み合わさることで、関東学生連合チームはより多様で魅力的な編成へと変化しています。



こちらは以前の選出方法に近いけど、違うのは予選会落選校の上位11位以降の選手に限る、というのが以前とは違うみたい
より多くの選手にチャンスが広がった感じだね
エントリー人数や出場の仕方にどんな違いがある?
2026年からの新ルールでは、関東学生連合チームは「チーム枠」と「個人枠」から選ばれた選手で構成される、全16名の編成になります。
新制度では、関東学生連合は以下の2つのルートで選手が構成されます。
- チーム枠(10名):予選会総合11〜20位の大学が対象。各校から1名ずつ選出。
- 個人枠(6名):予選会で総合21位以下だった大学が対象。各校1名まで候補者を出し、その中から個人成績上位6名が選出。
このように、「大学単位の評価」であるチーム枠と、「個人単位の選考」である個人枠とで明確に選考基準が分かれており、予選会の頑張りが“チームでも個人でも”報われる可能性が広がっています。
なお、実際に箱根駅伝を走るのはこの16名の中から選ばれる10人(+補欠)であり、例年通りオープン参加のため正式な順位や総合成績はつきません。
箱根駅伝2026から関東学生連合にチーム枠・個人枠導入の背景と理由とは?
箱根駅伝9区の学生連合の東大院生ランナー古川大晃選手の給水担当してた八田秀雄 東大大学院教授、乳酸代謝研究の第一人者で運動生理学界のビッグネーム、陸上の中・長距離界でも多大な貢献をされた方で、今年で定年、退官ということですが、大仕事を箱根駅伝でしてたのアツい。#箱根駅伝 pic.twitter.com/uphB3niIVr
— てんげるまん🌀tengelmam (@fcbliebe1900) January 3, 2025
2026年から関東学生連合チームの編成方法が大きく変わることになったのは、ただルールを変えたかったから…というわけではありません。
背景には、学生たちの頑張りをもっと広く評価しようという想いや、箱根駅伝そのもののあり方を見直す動きがあります。
ここでは、チーム枠と個人枠が導入された理由について、もう少し深掘りしてみましょう。
“個の強さ”から“チーム力”へと重視が変わった
これまでの関東学生連合は、基本的に「個人の走力」=予選会でのタイムが選考基準となっていたこともあり、
どんなにチームとして善戦していても、個人の記録が上位に入らなければ箱根駅伝を走ることはできませんでした。
ですが近年、「チームとしての健闘ももっと評価してほしい」という声が高まってきたのも事実。
特に予選会で11位や12位とあと一歩で本戦出場を逃した大学にとっては、「惜しくも届かなかったのに、ひとりも箱根に出られない」という現状は、非常に悔しいものでした。
そうした背景をふまえ、新たに導入されたのがチーム枠です。
この制度により、予選会で上位に入った落選校にも、各校から1人の選手を関東学生連合として出場させられる仕組みが整いました。
これまでのように「個の力」だけでなく、「チームとしての頑張り」も評価対象になることで、
箱根駅伝の連合チームもより“チーム力”を感じさせる編成へと進化したと言えるでしょう。



去年の予選会であと1秒というタイムで本選出場を逃した東京農業大学など、予選会敗退の悔しさを経験した大学にとっては大きな救済になるよね!
箱根駅伝に出場したことのない大学にとってもまたとないチャンス!
関東学生連合のルール変更はなぜ行われた?委員会が示した目的と背景とは
今回の制度変更には、青山学院大学の原晋監督も深く関わっています。
原監督は、関東学生連合チームに関する関東学連の対策委員会の委員長を務めており、今回の編成方式の見直しに携わってきた人物。
日刊スポーツの報道によると、今回の変更は「切磋琢磨」「多様性の確保」「選手強化」などを目的としたものだと説明されています。
つまり、これまでのように“個人のタイムだけ”ではなく、チームとしての努力や成長も評価されるべきという考え方が背景にあるようです。
また、出場回数の制限が緩和されて最大2回まで出られるようになったことも含めて、学生ランナーがより長期的に目標を持てる仕組みへと進化したともいえるでしょう。
今回の制度変更は、箱根駅伝そのものの伝統を守りつつ、次の時代を見据えた「学生主体」の新しいチャレンジといえそうです。
箱根駅伝2026の関東学生連合の出場回数が変更!最大2回までOKの新ルールとは?
本学陸上運動部の古川大晃選手(博士4年)秋吉拓真選手(学部3年)が第101回箱根駅伝に関東学生連合チームとして出走。復路8区から9区、東大生同士で襷をつなげました!みなさん応援ありがとうございました。
— 東京大学 | UTokyo (@UTokyo_News) January 9, 2025
(写真左は秋吉選手、右の古川選手は関東学生連合チームの主将も務めました) pic.twitter.com/zCwfg9VDI7
2026年からのルール改正により、関東学生連合チームでの出場回数に関する制限も見直されました。
これまでは「1回しか出られない」とされていた連合チームですが、今後は最大で2回まで出場が可能になることが正式に決定しています。
この変更により、箱根駅伝を目指す学生ランナーたちにとっては、より長いスパンで目標を持って挑戦できる環境が整ったと言えますよね。
それでは具体的に、何がどう変わったのかを見ていきましょう。
これまでのルールでは「1回限り」だった
これまでの関東学生連合チームでは、「一度出場したら、もう連合では走れない」というルールがありました。
つまり、予選会で本戦に進めなかった大学に所属していても、連合チームで出場できるのは一生に一度きり。
せっかく個人タイムが良くても、連合で走った翌年にまた予選落ちしてしまった場合は、もう箱根を走るチャンスがなかったのです。
このルールは、貴重な出場枠を広く多くの選手に与えるという意図があった一方で、「2年連続で活躍できそうな選手が出られないのはもったいない」という声もありました。
2026年から「最大2回」までOKに!
そこで、2026年大会からはこの出場制限が緩和され、関東学生連合チームとして最大2回までの出場が可能になりました。
新ルールでは、以下のようなケースでも連続出場が認められるようになります。
- 予選会で2年連続でチームが敗退してしまった
- 2年連続で個人タイムが評価された
- 本戦には出場していない(※チームが箱根に進んだ年は除外)
この改正によって、特に1〜2年生の早い段階から頭角を現した選手が、翌年も箱根を走るチャンスがあるという新しい流れが生まれました。
出場チャンスが広がった注目選手は?
今回のルール変更により注目されている選手のひとりが、東京大学の秋吉拓真(あきよし・たくま)選手です。
秋吉選手は、2025年の箱根駅伝で関東学生連合の一員として初出場を果たし、8区を区間7位相当という快走で話題に。
東京大学としては、2020年大会の阿部飛雄馬さん以来となる箱根ランナーであり、急激な坂が続く難所の8区を託されたその走りは、文武両道の象徴的存在として多くの注目を集めました。
これまでは、関東学生連合としての出場は「1回限り」という制限があり、秋吉選手のように1年生や2年生で出場した場合は、その後にもう一度挑戦することはできませんでした。
しかし、2026年大会からは最大2回までの出場が可能になったことで、
秋吉選手をはじめとする若手ランナーにとって、再び箱根の舞台に立つチャンスが生まれたのです。
さらにこの制度変更は、秋吉選手だけでなく、「チームとしては予選落ちしても、個人としてはしっかりタイムを残した」選手たちにも朗報となっています。
たとえば、前年に惜しくも出場を逃した選手が、翌年も個人枠やチーム枠での再出場を目指せるようになったことで、
「1度きりのチャンス」から「2年越しのリベンジ」へと希望の持ち方も大きく変わってきそうです。
まとめ|新しくなった関東学生連合に注目!
兵庫県代表でソラタがめちゃくちゃお世話になった、亜細亜大学で主将を努め、今年の箱根駅伝、関東学生連合で1区を走った片川祐大選手!
— 上山光広|100日連続フルマラソン (@mitsuhiro0623) January 21, 2025
ソラタが6区から7区へ襷を渡すとき、片川選手が「ソラタくーん!」と大きく手を振ってくれたシーンに父は感極まりました。… pic.twitter.com/eiAZrQVMb4
026年から大きく変わることになった、箱根駅伝の関東学生連合チーム。
これまでの「個人のタイム重視」だけでなく、「チームとしてのまとまり」や「長期的な挑戦」も評価される仕組みに進化しました。
- 「チーム枠」と「個人枠」のハイブリッド編成
- 出場回数の上限が最大2回に拡大
- 東大秋吉拓真選手などすでに1回出走した選手にもチャンス
こうした変化はすべて、箱根を目指す学生ランナーたちにより多くのチャンスを与えるためのもの。
そして、それを応援する私たちファンにとっても、関東学生連合がより注目すべき存在になっていきそうです。
予選会で惜しくも本戦に届かなかったチームや選手が、関東学生連合として再び箱根路に立つ――
そんなドラマが、これからも生まれていくかもしれません。
今後の予選会の行方や、連合チームに選ばれるメンバーにもぜひ注目していきましょう(*^-^*)
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